共通ナビゲーションを飛ばす
現在のページの位置: ホーム > 特集:インタビューレポート
本文ここから

インタビューレポート

製造の現場では、何を感じ、どう行動しているのでしょう。火災事故・不祥事に直接さらされた製油所。リスクに際してとった行動とは、そして行ってきた改善方法とは。1年を振り返り、現場からのレポートをお届けします。

ミュニケーションの改善が、コンプライアンスの徹底につながっていく。

千葉製油所 生産管理担当副所長瀧嶋輝行

千葉製油所 生産管理担当副所長
瀧嶋輝行

2006年4月16日の早朝、自宅で聞いた爆発音がすべての始まりでした。駆けつけると、現場は消防や警察でごった返していました。まず怪我人の有無を確かめたのですが、全員無事だったのは幸いでした。有害物質の拡散を想定したシミュレーションと日頃の訓練が役に立ち、被害状況、危機判断、それに伴うアナウンスなど、行政や近隣の皆様やマスコミに逐一説明しながらコミュニケーションを取っていくことができました。
ただし、そのあと発覚した一連の法令違反についてですが、所内や外部とのコミュニケーションに問題があったと振り返って思います。製油所にかかわる法令の数は膨大ですが、まずは「保安4法」を優先することが基本です。疑わしい部分に関しては、その都度関係官庁に確認していかなければなりません。しかし、いつしか自主判断しても良いだろうという意識が現場に生まれ、あの法令違反につながってしまったのではと思います。
製油所内のメンテナンスに際し、事前・事後どちらに届けるべきか、法規ごとに違います。前回の定期整備では、毎日主要メンバーが集まり、その日に発生した作業ごとに届け出に関しての判断をしました。日常でもシステムを改善し、一つひとつ判断をしています。
所内のコンプライアンス意識は、あの後明らかに高まってきました。それは現場にまで浸透していると思っています。先に 申し上げました保安4法からしっかりと研修し直しているのをはじめ、日常の細かい決まりまで含めた、幅広いコンプライ アンスを徹底させているところです。
これらの徹底により、官庁に確認する機会が増えたこともあり、グレーな部分は積極的にクリアにするという風潮になってきます。「大手を振って正しいことをしている」意識が、所内に明るい雰囲気を生んでいくと思っています。
*保安4法 : 消防法、高圧ガス保安法、労働安全衛生法、石油コンビナート等災害防止法の総称

「変えよう千葉」の徹底で、製油所内外の風通しも改善。

千葉製油所 総務担当副所長後藤浩二

千葉製油所 総務担当副所長
後藤浩二

今回のような非常事態が起きたとき、総務部門として私たちがなすべきことは、事業所で働く方々の安否確認、安全確認と地域住民の方や関係省庁、マスコミに対しての情報公開です。昨年の製油所事故では、亜硫酸ガスが発生しているとの報を受け、近隣の方には外出を控えていただくようお願いし、マスコミ発表よりも早い時点で経過を逐次お伝えしています。正確な情報があれば、不安は減らせるからです。
その後、法令違反発覚の際にも住民の方への説明会を何度も開き、すべての情報をオープンにしました。その結果、ご理解いただけたと思っていますが、一方で、行政からは厳しい指導を受けました。
それからの課題は、コスモ石油の信頼をいかにして回復するかでした。それには安全に関する過信、慢心によって怠っていた、「報告」、「連絡」、「相談」という当たり前の義務を徹底することです。
それを変えるきっかけが、製油所事故の「4.16」と、法令違反の報告書を官庁に提出した「8.31」でした。生産や利益よりも安全やコンプライアンスを優先させるという常識を、再認識させてくれたわけです。
総務部門としては、コンプライアンス意識をとにかく所内に浸透させなければなりません。前述のように「ホウ・レン・ソウ」をきちんと実践する、保安4法を正しく理解する、コンプライアンスにそぐわない慣習は改めるなどさまざまな施策を行っています。ルールを守るためには、そのルールの理由を知ることが大切です。さらには、コンプライアンスを徹底した上で、いかに効率よく業務が進められるかを考えていくこと。そのような日々の活動の積み重ねが、最終的には地域住民のみなさんとの良好なコミュニケーションにもつながっていくのですから。
今、私たちの作業服の胸に「変えよう千葉」というバッジが付いています。マークは 所内から公募して決めました。このスローガンは、「変えられることは何でもしていきたい」という姿勢の表れだと思っています。所員の前向きな議論のきっかけにもなり、ひいては所内や地域との風通しをよくする効果があるのではないでしょうか。
変えよう千葉

千葉製油所では、社員の意識統一、意識改革等の一体感を醸成するため、「変えよう千葉」をモチーフとしたワッペンを作成しました。
ワッペンのデザインは社員から公募し、所内投票によって決定したものです。
2006年12月から全所員および関係会社社員に配布しています。


本当の安全は、現場に出て五感でも確かめていきたい。

千葉製油所 安全環境室長中西 学

千葉製油所 安全環境室長
中西 学

千葉製油所の事故が起きたとき、私は坂出製油所勤務でした。改めて坂出でも安全確認を実施したことを覚えていますが、その後すぐに法令違反が発覚し、コスモ石油グループ全体に波及する問題にまで発展していき、坂出でもその対応に追われました。各製油所とも同じ状況だったのではないでしょうか。
昨年10月に安全環境室長として千葉製油所に来てからは、関係官庁との話し合いの連続でした。関係官庁に足を運ぶ回数も増えましたし、来所していただくことも多くなりました。次第にお互いの理解も深まってきたように感じています。所内では、コンプライアンスの重要さを法令違反に対して指導された装置停止等の対応を通じて痛感しています。そこで、関係部署が密なコミュニケーションを取りつつ、実際の業務を通じてコンプライアンスを確認しています。保安4法の基本的な部分の復習に始まり、我々の業務で必要とされることを再勉強しています。
製造部門における生産ラインと安全管理ラインの分離という方針を受けて、この安全環境室が所内でも独立的な存在となり生産ラインに対するけん制的な役割を果たしています。
工事について申請が必要かどうかの判断は安全環境室が下していますが、所内のコンプライアンス意識や法令に関する 知識が高まり、それらを基本として、自主的に安全性を確保していくレベルになっていけばいい、と個人的には思っています。そうすれば、さらに活気のある製油所になることができるでしょう。
安全やコンプライアンスは、書類の上だけでは実現できません。できるだけ現場にも足を運び、五感でそれを確認していきたいと考えています。
あの出来事が、コスモ石油グループ全体を正しい方向へ導くきっかけとなりました。あれから1年が経ち、それぞれの部門でコンプライアンス意識は、どのように変わってきたのでしょうか。非製造部門のリーダーに話を聞きました。

「いいだろう」は、もう通用しない。 グレーゾーンは徹底的に排除。

需給部長 桐山 浩

需給部長
桐山 浩

私たち需給部は、文字通り需給バランスを調整するセクションです。ですから去年の事故の際は、復旧するまでにどれくらい時間がかかるかを予測し、供給をストップさせないために不眠不休でやりくりしました。元売り各社、販売部門にも調整をお願いし、その甲斐あって最悪のケースを脱することができました。
しかしその後の一連の法令違反では、どんなことが明るみに出るかまったく読めませんでした。次々に報告される不祥事に、まるでボディブローを受けているような感じがしたものです。2006年10月以降は生産計画の修正の連続で、製油所に対してもずいぶん無理なお願いをしました。製油所としても、各地域の官公庁と細かい部分まで話し合ったと聞きます。そうやって全社的に協力体制を整えたおかげで、生産ラインのストップを可能な限り減らし、供給への影響を最小限に食いとどめられたのはよかったと思っています。
製油所には監督官庁への報告義務がありますので、事故・法令違反以降どんな小さなことでも見逃さない風潮になってきました。今までやや甘かった部分も正直言ってありましたが、そういった馴れ合いは影を潜め、グレーなことは一切通用しなくなっています。代々引き継がれてきたことを改めて見直すと、社会と乖離していることがわかったわけです。我々としても、法律を勉強する機会も増えましたし、グレーと思われることがあれば法務部門へ足しげく通うようになりました。
今度のことをきっかけにして、石油業界全体でも情報交換を行うなどして、より良い方向に向かっていけば良いのではと思います。どんどん変わっている時代の中に取り残されないためにも、コンプライアンス意識を高めていくことは必要だと考えます。
これからの課題は、収益を上げることと法務的な枠組みとのバランスを取ることが大切なのではないでしょうか。コストや時間はかかるかもしれませんが、これが実現すれば新しいコスモ石油グループとなることは間違いありません。

何に対しても「誠実」でありたい。それが結果につながっていくと信じる。

常務執行役員 東京支店長清水美知男

常務執行役員 東京支店長
清水美知男

まさに「大変なこと」が起こってしまった 1年でした。千葉製油所事故の時は、供給への影響を心配する特約店の声に真摯に対応し、理解を得ることができましたが、その後の不祥事発覚にあたっては「コスモ石油ブランド」のイメージダウンを真っ先に心配したものです。会社が逐次プレスリリースを出し、包み隠さずすべてを公表したことが結果的に良い方向に働いたのだと思いますが、私自身、ステークホルダーの皆様にはひたすらお詫びしましたし、長いおつき合いの方々にはずいぶんとご心配いただきました。
東京支店では、一連の事件が起きる前からコンプライアンス教育には力を入れてきました。毎週開いている勉強会でも、それに関するテーマを数多く取り上げています。独禁法、品確法や消防法をはじめ、販売の現場も法令だらけですから、それを知らなかったでは済まされません。まずは「CSRって何?」というところから始めました。リスクマネジメントの研修ももちろん盛り込んでいます。
支店のゴールは「業績の向上」にほかなりませんが、その前提としてコンプライアンスは必須条件です。社員一人ひとりのコンプライアンス意識が上がっていかない限り、業績は常に砂上の楼閣と化するリスクをはらんでいます。いつまでも「上からやらされている」という義務感ではだめなのです。自分自身で使命感を持ち、常に自己点検しながら、業績にこだわり続けている必要があります。
コスモ石油グループには「ココロも満タンに」という企業スローガンがあります。これは社会に対して企業姿勢を示す宣言でもあり、社内に向かっては社員の行動のよりどころともいえます。これを実現するためには、何が起ころうとも常に誠実であることが必要だと思います。その誠実さこそが、「いい会社にしよう」という一人 ひとりのモチベーションにつながるものと信じています。そして、それがコスモ石油グループのブランドイメージでのつながりを強めていくのではないでしょうか。

企業文化を変える、という決意のためには、油断をしないこと。

執行役員 総務部長青柳 潔

執行役員 総務部長
青柳 潔

昨年の製油所事故に端を発する一連の法令違反を経験したことにより、コスモ石油グループは「企業文化を変える」決意をしました。さまざまな問題点が浮き彫りになることで、改善すべき点もはっきりしたからです。社長の直下に位置する企業倫理委員会の下に、製油所ごとのコンプライアンス委員会を発足させました。トップの意志が生産の最前線までダイレクトに伝わっていくシステムをつくるためです。
昨年の10月から今年3月まで、各製油所で毎月コンプライアンス委員会を開き、再発防止策と遵法意識を全所員に徹底していただきました。コンプライアンスは、説明や講義を聞くだけのものではなく、毎日の生産活動の中で実践していくものだという意識の醸成をお願いしました。
また各支店においても、支店主催で企業倫理研修会を開いていただき、支店長自らがイニシアティブを取り、販売活動の中でコンプライアンスをどう実践していくかを明確にしていただきました。
さらに、現状の課題を知るために、匿名のモニタリング調査も全社的に行っています。結果を見ますと、コンプライアンス意識は確実に根付きつつあると確信していますが、そこで吸い上げた意見や問題点をフィードバックし、改善活動に役立てています。
本社の総務部に置かれている「企業倫理推進室」では、このような具体的な施策を通して、企業倫理の社内推進を図って行こうと活動しています。
「企業文化を変える」決意と申しましたが、まず「生産活動を法益より優先させない」という理念の共有が重要だと思います。保安4法の法益の中でも、最も基盤となるのは、社員の生命・身体の安全を守ることだと思います。これがないと、地域の方々やお客様の安全も守れません。この決意をトップから生産の最前線まで貫くことで初めて、文化は変わります。
私がいつも意識しているのは、「決して油断をしない」ということ。リスクはどこでどんな形で口を開けているかわかりませんから。油断することなく、皆さんと一緒にコンプライアンスに取り組んで行きたいと思います。


本文ここまで