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サステナビリティレポート2006|2006年4月の千葉製油所事故と一連の不祥事について

この特集は、2006年10月3日現在の情報を基に記述しております。

2006年4月の事故について

概要

2006年4月16日、コスモ石油千葉製油所にある減圧軽油脱硫装置と第一水素製造装置付近で爆発、火災が発生しました。
この事故を受け、「千葉製油所 減圧軽油脱硫装置/第一水素製造装置 事故調査委員会」(委員長 常務取締役 古薗雅英)を設置し、事故の原因調査を進め、その結果と再発防止策を調査報告書に取りまとめ、2006年6月20日に経済産業省原子力安全・保安院、ならびに千葉県に提出いたしました。

事故原因と再発防止策

今回の事故の原因は第一水素製造装置内にある気液分離槽(注1)の胴板に磨耗と腐食により穴が開き、装置の中を流れている水素が漏洩、滞留し、爆発・火災を引き起こしたとの結論にいたりました。また、1996年に気液分離槽を取り替えた際、内部構造を変更したことにより、流体の流れが変わり局所に流体が当たって、その部分の減肉が早まったと考えられます(下図参照)。
しかし、このことが内部構造変更当時では予測できず、結果として、局所的な減肉が発見できないまま今回の事故につながったと結論づけています。
このような原因で事故が発生したことから、内部構造を再度元に戻し、ノズルの直径を大きくし流速を半減させるなど、一定箇所に流体がより当たりにくい構造にした上で、材質も強度の高いものに変更し再発防止を図ることとしました。

図:気液分離槽

(注1)気液分離槽:脱炭酸塔の下流に位置し、脱炭酸塔下流の配管内へ注入した水を分離する装置。
(注2)バッフルタイプ:胴内に“じゃま板”を設置し、その板に流体を当て、拡散、流速低下させる構造。
(注3)インナーノズルタイプ:胴内にノズルを設置し拡散、流速低下させる構造。

ヘルプラインへの通報と不祥事の判明

2006年7月4日、企業倫理ヘルプラインにコスモ石油グループの社員からの匿名の書面が届きました。コスモ石油が発表した事故原因と再発防止策に疑問を呈するもので、1995年にも今回と同様の事故が発生していたにもかかわらず、発表内容にはそのことに一切触れていないということや、同様の事故が起きたにもかかわらず、以前の構造に戻すという再発防止策に疑問を感じ、「1995年の事故を故意に隠しているのではないか?」との疑いを指摘する内容でした。
企業倫理委員会を中心に調査したところ、1995年に同様の事故が起きており、その当時、行政当局へ報告していなかったことや事故後に穴が開いた箇所の補修を無許可で実施していたことがわかりました。
さらに、すでに提出した事故調査報告書の記述内容に誤りがあった(測定した事実のない肉厚測定データを正しいものとして記載していた)ため、2006年8月4日に原子力安全・保安院と千葉県に対して報告し、陳謝しました。

調査チームによる社内調査の実施と行政処分について

これを受け、2006年8月8日に原子力安全・保安院より厳重注意を受けるとともに、以下の点についての指示がありました。

  1. 1995年の手続き不備等に関し、原因究明および再発防止策の策定を行うこと。
  2. コスモ石油の全事業所について、1997年4月以降、高圧ガス保安法に基づく手続きや検査が適正に実施されているか確認すること。

また、千葉県からも同様の指示が2006年8月10日にありました。
コスモ石油では、調査チームを編成し、関係者からの聞き取り調査や社内文書・記録類の調査を行い、結果を取りまとめ、2006年8月31日に原子力安全・保安院と千葉県に調査報告書を提出しました。その内容は次のとおりです。

1995年に発生した千葉製油所第一水素製造装置事故とその対応に関する調査結果

  • (1)事故の概要

    1995年12月11日千葉製油所第一水素製造装置内にある気液分離槽の胴板に線状の穴が開き、水素を含む流体が漏洩しましたが、安全停止し、人的・物的被害ともありませんでした。

  • (2)事故原因

    気液分離槽内に進入する流体がバッフルプレート(じゃま板)に当たり、胴板の一部分に集中して衝突したことによって、磨耗と腐食が発生し、長さ約7mmの線状の穴が開き、そこから流体が漏れ出しました。

  • (3)事故発生時、ならびに事故後の手続き不備

    事故発生後、石油コンビナート等災害防止法で定められている関係行政当局への通報を行わず、旧高圧ガス取締法に基づく事故届も提出しませんでした。また、事故翌日に、千葉県の許可を得ずに開口部の補修(応急補修)を行いました。

  • (4)手続き不備の原因

    石油コンビナート等災害防止法で定められた異常現象の通報を行うと、原因や対策の説明、その後の補修等に時間を要し、装置の停止期間が長期化してしまうと考え通報を行いませんでした。また、安全性の確保を前提としながらも、早期復旧のため、工期最短化を優先した応急補修方法を選択し、許可を受けないまま工事を実施してしまいました。

  • (5)1996年の設備取り替え時に作成された虚偽データ

    気液分離槽を1996年に取り替えた際、その理由を「経年減肉」と変更許可申請書類に記載していたため、これを根拠づける必要があるとの意識により、測定実績のない定点の肉厚測定データが作成されたとの結論にいたりました。

1997年4月以降の高圧ガス保安法に基づく手続きや検査に関する調査結果と行政処分

高圧ガス保安法に基づく手続きを行わず、無許可で工事を行った事例が2006年8月31日までの調査で7件あることがわかりました。
調査報告書を提出した翌日の2006年9月1日、原子力安全・保安院よりコスモ石油への処分方針が打ち出され、2006年9月19日に処分が決定しました。

  • 千葉製油所:完成検査に係る認定ならびに保安検査に係る認定の取り消し
  • 四日市製油所・堺製油所・坂出製油所:完成検査に係る認定の取り消し

その他法令違反の判明と社内処分について

また、その後の調査で、労働安全衛生法や消防法等の他法令の違反事例も発見され、最終的な無許可工事に該当する事例は全製油所で事案件数にして36件、延べ47件にのぼり、うち13件が漏洩等の事故であったことがわかりました。
こうした一連の調査結果を踏まえ、2006年4月の千葉製油所事故に関する調査報告書の内容について、次の修正を行った上、2006年10月3日に再提出いたしました。

2006年4月の事故調査報告書に関する主な修正点

(1) 1995年の事故に関する調査結果の記載の追加
(2) 2006年6月20日以前の事故調査委員会で委員長を除くすべての委員が1995年の事故の認識がありながら言及しなかったことの記載の追加
(3) 測定実績のない定点の肉厚測定データの削除

また、一連の不祥事を受け、コスモ石油としての処分を同じく2006年10月3日に決定し、公表しました。

主な社内処分の内容

  • 報酬の一部の自主的返上
    岡部敬一郎 代表取締役会長(月額報酬の50%・3ヵ月)
    木村彌一  代表取締役社長(月額報酬の50%・3ヵ月)
  • 減俸処分
    古薗雅英 常務取締役(月額報酬の50%・3ヵ月)
    澤田正敏 常務執行役員 技術部長(月額報酬の30%・3ヵ月)
    寿賀清三 常務執行役員 四日市製油所長(月額報酬の30%・3ヵ月)
    矢嶋隆司 執行役員 千葉製油所長(月額報酬の30%・3ヵ月)
    丸川元  執行役員 堺製油所長(月額報酬の30%・3ヵ月)
    松村秀登 執行役員 坂出製油所長(月額報酬の30%・3ヵ月)

再発防止に向けて

コスモ石油では今回の事故および一連の不祥事を重く受け止め、再発防止と信頼の回復に向けて、企業倫理のさらなる徹底に向けた意識改革と、保安体制・コンプライアンス体制の再構築とを柱に、必要な措置を速やかに実施してまいります。なお、これまでに次の対応を開始、あるいは実行を決定しております。(詳細はサステナビリティレポート2006の以下の項目をご覧ください。)

今後さらに、社内調査の結果も踏まえて必要な対応を順次実行し、次回の報告書にてご報告させていただきます。

本文ここまで